山ナース日記 ~Vol.5 寄り添う登山~

山ナース

山域:関東近郊
日程:2018.夏

「何て明るくて楽しい登山グループなんだろう!」一緒に山を歩いていて、そう感じました。
病の経験がある方、いま病と闘っている方、そんな方々の登山に参加して医療サポートをするはずの私が、逆に皆さんからたくさんの元気を頂きました。

事故渋滞にバスがつかまり登山口への到着が遅れ、「行けるところまで」という時間制限の登山になってしまったのに、「練習になるから(^_-)!」「山頂に行くだけが目的じゃないから(*^^*)♪」と、皆さんとーってもポジティブで、本当に嬉しそうに登山をしていらっしゃる。

登っている際も、元気な人が、疲れている人の手助けをする。でも、どちらもお互いを気遣っている。それも笑いながら楽しそうに。一番後ろを歩かせていただきながら、山岳看護師として「どのようなサポートが出来るか?」を模索していましたが、「私に任せて!」と、手を差し伸べるだけがサポートではなく、寄り添う事もサポートだと思いました。もちろん、「イザとなれば私に任せて!」という気持ちを持ちながら。

 

以前、障害のある子供達と一緒に登山をした時、私は総括リーダーだったので、頭の中には常に「安全」という2文字しかなかったのですが、一人一人それぞれのペースで山を楽しんでいる姿を見て、雄大な景色を見るだけが山の楽しさではなく、石ころ一つ、葉っぱ一枚、私達が見過ごしてしまう山の一面を見させてくれたのを思い出します。

山はいつも、誰に対しても平等に優しく、そして厳しい。だからこそ、山へ来る人へ喜怒哀楽を与えてくれるのだと思います。山の厳しさばかりに気を取られて「安全である」ことを優先してしまえば、強い者しか山に入れないのかもしれません。また、弱い者には常にサポートが必要になるのかも知れません。しかし、私が一生懸命に何かをしてあげることだけがサポートではなく、優しい山を楽しんでいる方々に寄り添うという登山も山岳看護師として必要なんだと再認識した登山でした。

小林 美智子