山ナース日記 ~Vol.13山小屋での山岳看護師の活動~

山ナース

場所:南八ヶ岳 赤岳鉱泉
日程:2019年1月19日(土)~20日(日)

今季2回目の八ヶ岳赤岳鉱泉での山岳看護師活動。
前回は12月三連休でしたがその時よりお客さんが多く、なんと満員御礼状態。
入山時はお天気が良く、大勢の方がアイスキャンディーを楽しんでいました。

今回は同じ国際山岳看護師でWMAJ医療アドバイザーでもある中村富士美さんとご一緒なので心強い。
今回の活動のメインは、緊急時に備え待機しながらの山小屋の救急グッズの確認整備です。
早速、山小屋内にある救急用品のチェックをさせてもらいました。
もしも急病人やケガ人が出てしまったとき、医療従事者である私たちがいる間は何とかなっても、通年営業の山小屋では実際に我々が居るのは一時。
我々がいないときは、スタッフの方々で緊急時の応急処置などの対応をしなければなりません。
忙しい山小屋のスタッフの方々の代わりに、医薬品が日切れしてないか、備品はそろっているかをチェック。
さすが大勢が宿泊する山小屋だけあってAEDをはじめ大体のものはそろっています。
しかし、それにしてもいっぱい出てくる出てくる、テーブルがいっぱいになってしまいました。
やはり忙しい業務の中でそこに手が回らないのが現状です。

チェックするとともに、スタッフの方々でもパッと見てすぐに使えるように、更に小屋の宿泊者に医師や看護師がいた場合にもすぐに対応してもらえるように整理整頓しました。
足りないものや補充物品のアドバイスもさせていただきました。

さて、夜のレクチャーですが、今回は山岳看護師2人体制ですので豪華2部構成としました。
はじまる頃には、食堂には大勢の方に集まっていただけていました。
私は日本登山医学会の認定山岳医山岳看護師制度についてと、冬の脱水や心臓突然死など冬の登山の注意点のお話しをしました。

中村さんは、国際山岳看護師でありながら、なんと民間山岳遭難組織(LiSS)の代表をしていて、山と渓谷2月号単独行の登山術でインタビュー記事が掲載されています。
今回は、遭難捜索の観点からの安全登山のポイントという貴重なお話をしてくれました。
私はほとんど一人で活動しているため、他分野で活躍する中村さんのお話を聞くのがとても楽しみでしたが、大勢の方が興味深く熱心に聞いていました。

前回のような小屋内での滑落などは起きず、今回は平和に朝を迎え、無事に宿泊されてる方々の出発を見送ることが出来ました。
朝食は小屋の方々と一緒にまかないを食べます。スタッフの方々と色々なおしゃべりをしながらの食事はとても楽しいです。
そして朝食後、小屋スタッフの方々にむけたレクチャーを行いました。
血圧計やパルスオキシメーターの使い方、整理した救急用品の説明、そしてAEDのチェックも行い、小屋の方々にはとても喜んでいただけました。
このような山で働く方々へのサポートや健康管理は、山岳領域における我々の役割のひとつだと思っています。
 

帰る頃、外は昨日とは一転した降雪。私たちがチェックした救急グッズが使われることがないことを祈りつつ、赤岳鉱泉を後にしました。