山ナース日記~Vol.24「 山ナース、海に現る」山と海の意外な共通点~

山ナース

この夏、学生の遠泳イベントに救護班として参加してきました。
山も海も野外活動ですので、基本的なケガの処置などは変わりませんが、
山と海は標高にかなり差があるにもかかわらず、似ている部分も多くとても勉強になりました。
そして、山には山ビルによる被害がありますが、海の生物による被害もあります。
今回の山ナース日記は、山と海との共通点と海生物による被害の対応について取り上げたいと思います。

まずは、低体温症です。
そもそも真夏の海でも海水は体温以下なので、猛暑中でも低体温症は起こります。
水中では空気中よりも速くに体温が奪われていきます。
浜辺のやや冷たい程度の水でも長時間入っていると、
唇をムラサキ色にさせた子供が震えながら海から上がってきますが、
今回は「遠泳」なので、沖の水温は冷たく、沖に出て長い時間泳ぎますので、
低体温症が起こる可能性があります。
低体温症の基本対処は、隔離・加温・保温です。
先ずは水から出ることが大事、自力で歩いて海から出られるような学生たちはビニールプールの温水に入り、温かく甘い飲み物を飲みます。
意識レベルが低下しているようであれば、心臓に負担がかからないように慎重に担架(水平位)で搬送し、ホットパックで体幹(胸の前)・腋窩(わきの下)・首・鼠けい部(足の付け根)を温め、脈が触れなければ心肺蘇生が必要になります。
サマービーチは暑い、しかし低体温症の危険性は潜んでいます。

そして、強い日差しによる目の紫外線対策も重要です。
白い砂浜は雪山と同じで下からの照り返しがあります。
紫外線により角膜が炎症を起こして、目の痛み、充血といった症状が出てきます。
いわゆる山での「雪目」状態です。
先ずは目を真水で洗い、目の安静とアイシングが必要になります。
もののけ姫の「曇りなき眼(まなこ)」を守るために、帽子はつばの広いもので、
横からの紫外線にも対応したサングラスをおススメします。

海は生命の源であり、生物の宝庫です。
クラゲなどの海の生物による皮膚炎も学生に多くみられました。
生きたクラゲに触れた時だけでなく、切れたクラゲの足が漂っていたりして
クラゲの足の毒による赤くひも状のかぶれがでます。
泳いでいて急に痛みを感じ、その後もピリピリと痛むと言って救護エリアに学生が来ます。
クラゲ皮膚炎の洗浄は先ずは海水で洗いますが、素手で触れないようにします。
その後、温かいシャワーかお湯でしばらく浸して痛みが和らいだ状態になったら、ムヒアルファEXなどのステロイド入り軟膏を塗って(あればフイルム剤などで保護もして)から、その後はアイシングをします。
(ステロイド軟膏の使用に際しては、説明文書をよくお読みになりご注意ください)
皮膚炎の範囲が広い時や症状がひどい時は速やかに病院に受信しましょう。

夏は海も山も楽しみ!
身体に負担をかけ過ぎずないように
思いっきり夏のアウトドアを満喫したいものですね~。