【山遊び♪レポート】2019年末 大荒れ予報の槍ヶ岳から八ヶ岳へ転進 石尊稜&稲子岳南壁

山ナース

時期:2019年末
報告:ホームページ管理人Mu

昨年末の山行は、槍ヶ岳に向けて準備をしていたが大荒れ予報のため、八ヶ岳の石尊稜&稲子岳南壁で雪稜&雪壁クライミングに変更しました。
石尊稜
快晴しかも八ヶ岳にしては弱風のこの日、赤岳鉱泉に到着し、素早くテントを設営後にアタックザックで出発。先週までは積雪は無かったのですが、今週半ばに降った雪で“雪山”と言える状況になりました。しかし、表面が隠れる程度の積雪のため岩と木の枝や根が隠れているため、アイゼンが引っ掛からないように歩く必要があります。
石尊稜は、初級者向けということもあるため、超人気ルートで登山道からもトレース(ラッセル)がバッチリです。三叉峰ルンゼを進み稜線上に上がるとすぐに第一岩峰に取り付きとなりそうなので、その手前でアンザイレンします。

第一岩峰は、夏は脆く冬は細かい感じで凸凹の少ない斜面、ここは頼れるパートナーにリードをお願いする。モノポイント(アイゼン)+Wアックスで細かい手足(の段差)を拾っていく様子をビレーしながら見て「自分にできるだろうか!?」と心配になる。実際に登りだすとロープで確保された安心感が、そういったハラハラドキドキを和らげてくれて、何とか登ることができました。

第一岩峰の終了点では、アイゼンの前爪が壊れてしまい仕方なく下りてきたパーティから「前のグループ達は遅いので、あまり早く登ると渋滞にはまるよ」というアドバイスをもらいます。実は、美濃戸口から美濃戸間の林道で前の車がスタックして大幅に行動予定が遅れていたのだが「天気も良いので明るいうちに稜線に出れば良いだろう」と考え方を変更しリラックスして進むことにしました。

・・・が、第二岩峰で追いつく。どうやら先行3組のうち2組のロープがそれぞれで絡まってしまって、止まっていたと3組目の方が教えてくれました。天気が良いので大したことにはなりませんが、私もロープの扱いは得意ではないので「悪天候だったら?」と想像して怖くなりました。

先行パーティが第二岩峰を通過する様子を見て、私もリードできそうなので特にアイゼンの置き位置に気を付けて進みます。特に難しくないからかボルト・ハーケン等はなく、若干ランアウト気味になりますが、ピナクルの反対側にロープを通します・・・このせいか、終了点ではロープの流れが悪くなって苦労してしまいました。
終了点からコンテでルンゼ状をわずかに登れば、八ヶ岳お決まりの一般登山者が間違って入らないように緑のロープが張られており登山道へ戻ることができた。稜線からは富士山、南アルプス、中央アルプス、北アルプスまでぐるりと眺めることができた。

快適で満足できる石尊稜の登攀でしたが「これから槍ヶ岳を見るたびに、宿題となった年末槍ヶ岳を考えてしまいそう(;^ω^)」と思ってしまいました。

稲子岳南壁
唐沢鉱泉からアタック装備で黒百合ヒュッテを越えて中山峠から急斜面を稲子湯方面へと一気に下る。昨年も同時期に稲子岳南壁を登攀したパートナー達(3人)は「登攀を終えて中山峠まで登り返すのが、今日の核心!」と言うのも頷ける程の激下り!「これでもか」と言うほど下りてから、稲子岳の壁に向かって登山道を飛び出すと今回の飛び出し位置が間違っていたらしく、藪漕ぎの末にオレンジテープのアプローチ道へと復帰しました。

無雪期に登った時の記憶を思い出す取り付きの脇のスペースで、アンザイレンする。

無雪期にリードした1Pは、この時期になると手足の置き場が少なくなり、難しいピッチへと様変わりするようで、先行の3人は慎重にアイゼンのモノポイントを置き、アックスでガリガリと極く場所を探している。私は3人分の登攀を見たので、アイゼンの置き場には苦労しなかったが、やはりアックスが極まらずガリガリとやってしまいました(^^;)。

つるべでリードを交代しながら登り、偶数Pを私がリードしたのでとても満足感の高い登攀でした。全体としては1Pが一番難しかった印象で、ここはグローブを付けた手では何も掴めずWアックスの方が安心で、それ以降では逆にグローブを付けた手で何とかなり、Wアックスが邪魔になることが多かったです。邪魔なのでアックスを首にかけていても、攀じ登る際やロープを扱う際にとても邪魔になるので1本は腰にかけておきました。2Pから登る前にルートを見極めてアックスを処理していれば、もっと快適な登攀であっただろうと思います。
また、4P目にリードをしていてチムニーから抜ける際に掴んだ岩が動いたのにはドキッ!としました。そういえば、無雪期は浮き石だらけで落石に気を付けていた記憶が蘇ります。・・・が、「数年の月日で人はこんなにも記憶を失うのか!私だけ!?」と愕然とするほどルートの記憶は蘇らず初見のルートのような緊張感を経験できました。良かったのやら悪かったのやら???

こういった雪稜や雪壁を登るためには、雪山の技術・知識・経験が無ければ困難だと思います。まさに「千里の道も一歩から」ですね。
私もそうでしたが、「雪山をやりたいけど、どうしたら?」と考えて悩んでいる皆さん、小林美智子山岳看護師事務所では、以下のプランをご用意しています。ぜひ参加をご検討ください。

2/8(土)-9(日)【雪山登山:はじめの一歩】講習会(雪山を始めるにあたって基本から学び、雪山登山の第一歩を踏みしめるための講習会)⇒講習会の概要はこちらをクリックして下さい。

2/29(土)-3/1(日)【雪山登山:二歩目】講習会(雪山で自分や仲間の身を守るための基本的な知識と技術を学びます。)⇒講習会の概要はこちらをクリックして下さい。

1/11(土)-12(日)、3/7(土)-8(日)【日光澤温泉スノーシューハイク】ガイドプラン(雪山登山するにはちょっと敷居が高いけど雪上を歩く楽しさを味わいたいという方向けの、山ナースレクチャー付きガイドプラン)⇒講習会の概要はこちらをクリックして下さい。

1/18(土)【山ナース安全登山講習会】~冬季登山に潜む危険(凍傷・低体温症・脱水)の回避術~(まずは机上講習から!と言う方はコチラ)⇒講習会の概要はこちらをクリックして下さい。

2/21(金)【山ナース安全登山セミナー】「冬季登山に潜む危険の回避術(低体温症・凍傷・冬の脱水)」@好日山荘グランフロント大阪店内 マウントラボ(西日本の皆さまお待たせしました!)⇒講習会の概要はこちらをクリックして下さい。