【山遊び♪レポート】八ヶ岳広河原沢アイスクライミング ~クリスマスルンゼ、3ルンゼ、左俣とアイス三昧の三連休♪~

山ナース

時期:2020年2月
報告:ホームページ管理人Mu

今シーズンは暖冬のため、早くもアイスクライミングは終了か!?と思いながら、三連休を八ヶ岳の広河原沢へと行ってきました。広河原沢は初めて行きましたが、アプローチも楽、テント場も良いロケーション、いくつものルート・対象があり、「また来シーズンも行きたい!」と思える所でした。

1日目、クリスマスルンゼ

初日の朝、明るくなってから広河原沢への登山口である舟山十字路に着くと、驚いたことに車が1台も停まっていません。大荒れの天気予報が出ているためか、はたまた氷瀑は溶けてしまっている(と諦めた)からか・・・なんだか不気味な感じで心配しながら林道を歩いていくと、路面は凍っています。これなら氷瀑も期待できると足早になります。
ベースキャンプ地の二俣へは2時間もかかりません、誰もいないテント場で一等地を確保して、今日はゲレンデとも言えるクリスマスルンゼへ。テント場から地図とトレースを頼りに1時間半ほどで到着、「これは近い!」クリスマスルンゼは、容易な1段目、少し傾斜の立った2段目、その奥にナメ滝が見えました。

まず、1段目の傾斜の緩い場所を狙って私がリードします。2段目は近づくと水が滴っていて登れる箇所が限られています。氷も発達途上で登りにくそうですが、同行者とリードを交代しました。セカンドで登っても角度もある上に、足で蹴り込むと氷がバリンバリンと壊れるため、登りにくかったです。

2段目をクリアして、予報通りに強くなってきた降雪と突風の状況から奥に見えるナメ滝は割愛することにしました。そこから懸垂下降で下りて、テント場に戻ると2組ほどテントが増えていました。

夜中の叫び声の正体は!?
1日目は、早めにテントに戻ったので、早めに食事を済ませて暗くなるとすぐに眠ることができました。どうしてもテントだと熟睡はできないので、長く横になって身体を休めることが重要だと最近よく思います。気温の低下とともに雪がパラパラと乾いた感じでテントを叩き、まるで大雨が降っているようです。その音で何度か目が覚めても、横になって目を閉じていました。すると今度は男の人の叫び声で目が覚めました。「二俣到着-!」、時計を見ると夜の10時です。こんな時間にテント場で叫んでいたら、周りのテントから怒られそうですが、異様な状況に私も様子をうかがっていました。そのまま、その一団は、通り過ぎていきました。
翌日、他のテントの方に聞いたところ、左俣の氷瀑で蹴り込んだ時に氷が崩壊し、足を骨折して救助されたということでした。我々も3日目は左俣に行く予定でしたので、氷結状況が良くないのかと心配になりました。

2日目、3ルンゼ
昨夜の積雪でテントの周りは5cmほど積もっていましたが、大した積雪ではないので安心して出発すると、少しして昨日のトレースが埋まりだしました。わずかな標高差のせいなのか、それとも地形的な要因か分かりませんが、一晩で厳冬期の雪山になっていました。

3ルンゼには、隣のテントの若者が先行していましたが、ラッセルと氷結状況が悪い滝を越えるのに苦労し、追い付きました。ここまでのラッセルにお礼を言い、我々が先行するとすぐに枝沢に大きな氷瀑があったので、せっかくなので、ここでギア類を装着しリードして登りました。

登る事よりも滝の基部までの10mほどのラッセルがしんどかったのを覚えています。また、この日は冷え込みが厳しく、1本登る度に指が痛いほど冷たくなりました。

さて、3ルンゼへの本谷へは横幅2mほどの狭い滝で、氷結が悪くアックスを打ち込む度にドスッツ!っと氷が崩壊するような怖い音がする滝でしたが、クリアして先に進むと、狭い谷間に昨夜の雪が全て集まったようで、腰までのラッセルとなります。

しかも先に滝は見えず、埋まっている・・・と判断し、ここで3ルンゼを諦めクリスマスルンゼ・武藤返しの滝へと転進することにしました。

2日目、3ルンゼ→クリスマスルンゼ
武藤返しの滝まで戻ると、今取り付いたばかりの4人パーティーがいるので、昨日に引き続きクリスマスルンゼへ・・・なかなかのラッセルでした(^^;)
クリスマスルンゼは、昨日とリード個所を交代します。冷え込んで氷結が進んだせいか昨日セカンドで登った2段目の滝をリードしても不安なく登れました。ただ、その先は腰以上のラッセルとなり、昨日と同じで奥のナメ滝は諦めてテントに戻りました。

3日目、左俣
最終日は左俣です。前日にテント場で左俣の情報を仕入れたので安心して出発します。この日の左俣は、我々だけでしたが、途中まではトレースバッチリで、氷瀑も傾斜が緩くフリーで登れるルートです。

5~6本フリーで登った先に少し傾斜の有る10m弱の滝が出てきたので、ここでギア類を装着して私がリードしました。

しっかりと凍って凹凸の少ない面を選んで登ります。そして、手が痛くならないように事前に手を温めて、また、途中で休める時は手を下げて血流を促進しましたが、最後には少し指が痺れてきます。滝の落ち口を無事に抜けてセルフビレイを取って一息付けました。
そこから先は、標高が上がるのと谷が狭くなる事の相乗効果でラッセルが厳しくなります。

空が開けて稜線が近くになると“八ヶ岳ブルー”と言えるキレイな青空が見えてきます。それでも、なかなか現れない大滝に「雪で埋まってしまい、もう過ぎてしまったのか!?」と思っていると、ついに到着しました。
大滝は、想像していたよりも氷結状態が悪く、シャンデリアのような氷柱の集合体で、氷もはがれやすくアックスが極まりにくいです。しかし、同行者が今シーズンのトレーニングの成果で上手く突破してくれました。この日は稜線まで抜けるのには穏やかで最高の天気ですが、下山して帰宅することまで考えて引き返して下山する計画で、そのまま懸垂下降やクライムダウンを繰り返して、無事にテントに戻りました。残念ながらテント場の雪は融けていて「本当に今年の冬は異常だなぁ~」と話しながら下山しました。

今回、地図を確認しながら進み、間違えることなくルートを選択できました。しかし、途中で出会ったパーティーには、トレースをそのまま追って来てしまい、ルートを間違っていて我々が教えることもありました。一般登山道でも同じですよね。道迷いしないことが計画通りに登山を楽しむ第一歩です。大事な地図読みを学ぶ機会あります! 参加申し込みお待ちしています(^_^)
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