【日本登山医学会より登山者の方々へ】

山ナース

私が所属している日本登山医学会より、医学的見地から新型コロナウイルス感染に関する登山者の方々へのお願いです。決して新型コロナウイルス感染を軽視しないようお願いいたします。。

 

以下、日本登山医学会ホームページより

登山者の方々へ 「新型コロナウイルス感染に関するお願い」 2020/04/10
 新型コロナウイルスの感染が拡大し、外出の自粛が要請される中、これから連休・夏山と本格的な登山シーズンを迎えます。
登山は新鮮な空気の下、運動不足の解消や気分転換にもなり、その行為自体による感染の確率は低いと言えますが、登山口までの行程や登山中の行為などに注意すべき点もあり、医学的見地から以下の事をお願いいたします。
    1. 「緊急事態宣言」発令中は、所属地域の行政の指導に従って下さい。
      ご自分の居住地が緊急事態宣言の対象地域、あるいは自治体から外出の自粛が要請されている地域では行政の指示に従ってください。感染しても症状が出ない場合があることを知り、あなた自身が知らぬ間にウイルスの媒介者にならいよう心がけて下さい。
    2. 登山前の2週間に感染拡大地域を訪問しなかったか振り返って下さい。
      ウイルスに感染しても症状がでるまでには最長14日程度かかります。入山時は快調でも入山中に発病することがありますので、直前2週間のご自分の行動を振り返って下さい。感染拡大地域内での移動手段や人混み内での行動によっては、知らぬ間に感染し、山の中で発病することもあります。ツアーを含め同行者がいる場合は、その方々についても同様です。
    3. ご自分の体調はより慎重に管理して下さい。
      この感染症は、症状の発現から重症化までの期間が短いことも報告されています。高度によっては健常者でも血液中に酸素を取り込み難くなりますので、体調に少しでも不安のある時は、登山の中止も含めて慎重に判断して下さい。同行者についても普段以上に慎重な判断が求められます。
    4. 家を出て帰宅するまでの全ての場面で3つの”密”を避けて下さい。
      新型コロナウイルス感染を予防するために最も大切なのは、「密閉」・「密集」・「密接」の3つの”密”を避けることです。ご自宅から登山口までの移動、登山中、下山口から帰宅までのあらゆる場面で「人と人との間隔をあける」、「換気の悪い状況を避ける」ことが大切です。
    5. 可能な限り「徹底した手洗い」を励行して下さい。
      人は無意識の内に、手で目や鼻、口の周りを頻回に触ることが分かっています。山で手を洗える場所は限られますが、可能な場所では十分に手を洗って下さい。アルコール消毒までは無理でも、石鹸でしっかり泡立てて指先・指の間・爪の先・手首を30秒以上洗うようにしましょう。
    6. 普段以上に天気予報に注意して下さい。
      悪天候での無理な行動は体力を削ぎ、感染症を悪化させます。天気予報に注意し、登山計画の中止も含めて慎重に判断して下さい。
 登山は自然環境における個人のスポーツ活動ですが、社会と完全に無関係ではありません。
新型コロナウイルスが蔓延しつつある現在、登山中に万一事故を起こすと、警察・消防・山小屋関係者に普段以上の負担をかけることになり、もしもそれが感染者の場合は、他の登山者や他の救助活動に多大な影響がでます。
登山にも社会的責任が伴うことに十分配慮していただければ幸いです。

 なお、本稿の内容は、あくまでも現時点での情報に基づいたものであり、今後の変化によって変更になる可能性があることをご理解下さい。
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