【山ナース日記】vol.38 いまこそ山に持参するファーストエイドキットの点検見直ししてみませんか?

山ナース

今は新型コロナウイルス感染の猛威という不測の事態が起きてビバーク状態(ステイホーム)、
この期に普段、山に持っていくファーストエイドキットを点検&見直ししてみてはいかがでしょう?

ファーストエイドキットを購入したことで安心して、
買ってそのままという方は多いのではないでしょうか?

山岳看護師である私に、
「山にはどのようなファーストエイドキットを持って行ってるんですか?」
と聞かれることが多くあります。
薬はどんなもの? かぜ薬とか? 胃薬とか?・・・などなど。

私の個人登山時に持参する薬は、動けなくなった場合の薬と
下山のための応急処置キットしか持っていきません。

山小屋のスタッフなど山のお仕事される方以外、
一般登山者は、先ずは入山前に体調を万全にして、
もし山の中で体調が不良になったら、動けるうちに山から出る。
つまり原則下山です。

山に入ったらタクシーや救急車は来ないのですから、
登山ではいかに体調を崩さないように歩き続けるかが重要で、
水分補給・エネルギー補給・体温調整など、
常にセルフコントロールしなければいけません。
薬を飲んで登山を続けるより、体調不良時はいかに早く山の中から出るかです。

【お持ちのファーストエイドキットのチェックポイント】
・消毒液や持参薬は、日切れしていませんか?
山では消毒より、きれいに洗浄することのほうが重要です。
もし消毒液が日切れしていたら、いっそのこと洗浄用の穴あきペットボトルキャップに変えてみませんか?
薬は基本的に自分用の使い慣れたものを。
虫刺され時も、まずは清潔な水で洗浄しましょう。

・エマージェンシーシートは、古くないですか?
保温する以外にもいろいろと便利なエマージェンシーシートですが、
古いとイザ使おうと思ったときに広げられず切れてしまうだけです。
古い手袋も同様に装着した時点で切れてしまい使えません。

・ガーゼは、汚染されていませんか?
手の入るサイズのビニール袋に小分けして入れておくと、
早急に躊躇なく止血に取りかかかれますし、処置後のごみ袋になります。

・テーピングテープは、古くないですか?
古かったり汚染されているときちんと着かず、テープとしての機能が低下します。
汚染されていると、傷に直接使うことができません。

<あると便利な物>
・飲み終わった牛乳パックを洗って乾かして底を切れば、
軽くちょっとした隙間に入れられるコンパクトな骨折した時の添え木として使えます。
その他にもまな板かわり、火種など色々使えます。
・新聞紙も同様に使えますし、防寒にも使えます。
・三角巾は全身に使用できますので、必ずファーストエイドキットに入れておいた方が良いです。
・マダニ用にピンセットなどもあると良いですよ。

また、過去の山ナース日記にもファーストエイドキットについて記載していますので、こちらも参考にしてください。
~Vol.9 事故防止・経験交流集会~

人類共通の敵(新型コロナウイルス)に対して、
登山者は「動かざること山のごとし」が肝要です。
登山愛好家にとって、とても苦しいですが今はビバーク中と思い、
自分と仲間が生き抜くための行動をいたしましょう。

秋には山ナースによるファーストエイドキット活用術の講習会が開催できるように準備をしています。
開催日については、このホームページにて広報いたします。是非ご参加ください