【山ナース日記】vol.42 すでに山は虫の大国、毒虫の対処法について

山ナース

緊急事態宣言が解除され、やっと近隣の野外で感染防止に努めながら自然を楽しめるようになりました。


私も地元の山林に入り、自然の大切さを実感したり、改めて地元の良さを発見することができましたが、
この時期、もうすでに山林や野山などの野外は、虫の大国だったのです。
そこで、毒虫に遭遇した時の対策や処置の仕方をご紹介したいと思います。

 

<マダニ> 体長約2mm 日本には47種のマダニが生息 
   
↑写真:藪漕ぎの後ズボンに付いたダニを発見!

山林(ササヤブ)や野生動物が出没する環境に多く生息しています。
マダニは幼ダニ、若ダニ、成ダニの各ステージ生涯3回吸血します。
マダニの多くは、春から秋(3~11月)にかけて活動が活発になりますが、冬季も活動する種類もいます。つまり「山あり、ダニあり」なのです!
動物の呼気に反応して吸着・吸血し、脱落後に痛みや違和感を生じ、幹部が赤く腫れます。

吸着して間もなくなら、すぐに取れますが、かなり食い込んでいたり体が吸血して大きくなっている時は、無理に取ると吸着部の口部が残り傷口の回復が遅れるので、皮膚科でマダニ除去してもらいましょう。
数週間程度は体調の変化に注意して、もし発熱や発疹などの症状が出たら、病院に行ってダニに咬まれたことを必ず伝え診察を受けましょう。

*ウイルスを持ったマダニが重大病を媒介することもあるので要注意
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・・・咬まれてから6日から2週間を経て、発熱・はき気・おう吐・下痢・腹痛など風邪のような症状が現れ、その後、意識障害や皮下出血や下血などの症状がみられます。
致死率は6~30%と報告され、治療は対症療法のみ、有効な薬剤やワクチンはないので、早急に病院に受診することが肝心です。
近年、国内でも感染者が続出し、患者発生は地球環境変化によって北上しており、死者も出ているので要注意です。

 

<ドクガ> 毛虫

↑写真:よく見ると周りにけっこういますよ。

幼虫(毛虫)も成虫(蛾)にも毒針毛を持ち、触るとひどいかゆみが長く続いてしまいます。
毒針毛が刺さった皮膚は、じんましんのような発疹が現れ、ピリピリ感やかゆみが現れます。
強いかゆみなど症状がひどいようなら、皮膚科に行きましょう。
毒針毛は触るとさらに被害が拡大しますので、幼虫も成虫も触らないことが肝要ですが、触れたと思われる皮膚もウエアもテープ類を貼ってはがして毛を取り除きましょう。

 

<ヤマビル> 陸生吸血種 体長約2cm(伸びると5cm)

↑写真:人が近くにいると活発に動きます。

ヤマビルは、シカやイノシシなどの野生動物の血液を吸って生きています。
動物に吸血したまま一緒に移動するため、林道(遊歩道)や登山道(沢すじ)などに移動することができ、そこに登山やハイキングに来た人が通り、ヤマビルに吸着される可能性があります。
ヤマビルの活動時期は、5月~10月で気温が25度以上で、雨の日や雨上がりに特に多く見られます。
人間や獣類の呼気に反応し、靴や足首周りなど衣服のわずかな隙間からでも侵入し吸着吸血します。
塩やアルコール(エタノール)をかけるとすぐに離脱します。
強いかゆみ、腫れ、発心など出たら、皮膚科に行きましょう。

 

【対処のポイント】
・野外では、腕・足・首など、肌の露出を避けたウエアを着用
・ズボンの裾は靴下の中にいれ、靴下は厚手の長いもの
・靴やウエアに虫よけ剤を散布しておく
・休憩時や行動終了後に、体やウエアを良くチェックする(お互いチェック)
・服に付いたドクガは触らず、ガムテープを使って取り除く方法が効果的
・被害を受けた部位を洗浄した後、ステロイド剤・抗ヒスタミン剤入りかゆみ止め軟膏をぬる
・ヤマビル吸着部が血が止まらない時は圧迫止血

 

 


私は山に入るとき、傷や毒虫や目の洗浄のために、水道水を小さなペットボトルに入れて(入山毎に新しい水に変える)持ち歩いています。

  

虫よけ剤のディートは様々な害虫に効果を発揮しますが、ヒル専用の物や、マダニにも効果のある虫よけ剤などもあります。皮膚には使えないものもありますので使用上の注意をよくお読みください。
効力持続時間は約3時間くらいなので、行動時間によっては追加使用が必要です。
虫よけ剤だけに頼らずに防護手段と組み合わせて対策を取りましょう。

虫が大好きな方は、これからの季節は山の中に入るのが楽しいですね♪
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