【山ナース日記】vol.174 「富士講」って知ってますか?

山ナース

日本人の自然観や日本文化に大きな影響を与えてきた富士山は、2013年にユネスコの世界文化遺産「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」として登録されました。

その富士山信仰は、富士山に住まうと考えられた神仏への信仰を起源としていて、火山との共生、山麓の湧水などに感謝する伝統が生まれました。

富士山信仰の富士講は、「富士を拝み、富士山霊に帰依し心願を唱え、報恩感謝する」という江戸時代に成立した民衆信仰で、江戸時代には富士参拝は一大ブームとなり、多くの参拝登山でにぎわったそうです。
今では富士山信仰のための参拝登山ではなく観光登山として、開山期間中に約25万人が登る山となりました。
現在の富士登山も登山者の半分は生まれて初めての登山の方ばかりですが、江戸時代も一生に一度の富士山詣でだったのかもしれませんね。

2022開山日には、山梨県側富士スバルライン五合目の小御岳神社が富士登山の安全祈願をしてくれました。

富士講って、知っていますか?と投げかけておいて、なんですが、
お恥ずかしながら私も富士山救護所勤務をするまでは、富士山が信仰の山ということは知っていましたが、富士講を知りませんでした。

富士講は江戸時代から脈々と続いていて、現在でも白装束で鈴を鳴らして参拝登山をされています。

富士登山の楽しみはご来光だけではありません。ご来光を見ることだけが目的だと、お天気次第では残念な結果になってしましますので。
富士山を一周するルート(現在は一部通行止め)の御中道は、富士講信者における修行として利用された道ですが、3回以上の富士登山の経験がないと御中道巡りはできないとされてきたそうです。

御中道の散策も、とても楽しめますよ。
世界文化遺産となった文化面の面からも富士山を楽しんでみてはいかがでしょうか?