山の診療所や救護所には下界の病院のような設備も備品も揃っていません。
あれこれ工夫をしたり、ハイドメイドしたりして、処置で使用するものを調達します。
下界では捨てられるものが山では貴重な資材に生まれ変わります。
まずはOS-1が入っていたケースの段ボール
これはシーネ(副木)に生まれ変わります。
この段ボールシーネは長期で使用するものではなく、
あくまでも下界の病院に行くまでの応急処置として使用します。
足用や手首用など長さと細さを考え、日本人にも外国人にも使えるようにいくつか準備しておきます。
患者さんがいない時に看護師たちはせっせとこんなものを作っています。
実際には段ボールシーネを包帯で巻いて固定し、
包帯の隙間にクーリングのための保冷材を入れてあげます。
保冷材は家庭でケーキなどに入っていたものを看護師たちがとっておいて救護所に持参します。
これらファーストエイドグッズは、傷病者が救護所に返しに来たりしないで済むように
病院について用をなさなくなったら、捨てられるというコンセプトが基本のアイテムです。
空になったペットボトルも大活躍です。
2L、1L、500mlの各サイズの湯たんぽ用ペットボトル
救護所なのでベッドも電気毛布もありますが、
湯たんぽは局所を加温したり、抱き枕のように抱えることでより安心できるアイテムです。
山では水は大変貴重です。
野外では消毒よりもまずは傷をきれいにすることが優先されますが
少ない水で有効的に傷を洗浄できれば、それに越したことはありません。
洗浄用のペットボトルは水圧で汚染物を除去するために
キャップに穴をあけて手でプッシュして使用します。
もちろんきちんとした医療装備も必要ですので,
富士山保全協力金は五合目救護所で大事に使わせていただいています。