日時:2019/9/28(土)-29(日)
場所:甲斐駒ケ岳 黒戸尾根
日本登山医学会による甲斐駒ケ岳黒戸尾根山岳医療パトロールは、7月中旬から10月中旬の土日祭日に行われます。
2017年の夏から開始され、今年で3年目になりました。
このボランティア活動は、認定山岳医・認定山岳看護師が中心となり学会員も含めて、登山の現場でパトロールを行います。
必要があれば医療活動や事故防止活動を行う新しい山岳医療活動で、
今後の山岳医療に役立てるためのアンケート調査も行われます。
私も今年で3回目の参加ですが、毎回いろいろなドラマがあり気が抜けない活動になっています。
↑この活動は、
黒戸尾根七丈小屋の花谷泰広さんの多大なるご協力があってこその活動で、
七丈小屋は後方基地として、必要機材・医薬品を置かせていただいたり、
われわれ医療者の宿泊・食事をサポートしてくれています。
↑黒戸尾根は日本三大急登のひとつで、標高差2200mのハードなルートですので、
ビギナー登山者は少ないですが、長いルート(水場は七丈小屋のみ)、標高差に伴った気温の変化、岩場の急登など、しっかり準備して挑む必要があります。
我々も登山者への声がけをしながらゆっくり登ります。
↑5合目から先の岩場の急登で、去年、動けなくなった登山者を発見し救助したというエピソードがあったので思い出に浸っていたところ、何と!足から血をダラダラ流している人が下山してきました。
すかさず声をかけ、手当(洗浄+止血+保護)をしてあげました。
野外でのケガは消毒をするより、きちんと洗浄し、しっかり止血させることが重要です。
私は、ガーゼは直ぐに使えるようにビニール袋に入れて準備しておきます。ビニール袋で血液汚染をカバーしながら躊躇なくシッカリ圧迫止血をする事が出来ます。処置した後はそのビニール袋に使用したゴミを入れて持ち帰ります。
↑七丈小屋の夕食時には、山岳医療レクチャーを行います。今回は低体温症についてお話しましたが、質問時間を多くとるようにしています。登山者とのディスカッションは一方的にお話しするより、とても実践的でかつ効果的です。何より我々が登山者から学ぶ事も多くあります。
このような活動が、南アルプスだけでなく他の地域にも広がり、山を楽しむ人達の安全につながることを願うばかりです。