【山ナース日記】Vol.30 女性と登山シリーズ「登山と更年期の付き合い方」

山ナース

誰にでも訪れる更年期、かくして自分も更年期に突入、しかし健康的に登山を楽しみたい。
今回の女性と登山シリーズはかなりデリケートな話ですが、
女性の平均寿命は80代後半、更年期は人生の折り返し地点、
この先も続けたい登山人生、むしろ輝くのはこれからです。
自分の身体の変化を知り、見かたを変えるきっかけにしていただければと思います。

<女性のカラダの変化>
女性のカラダはホルモンによって支配されていると言っても過言ではありません。
月経が無くなる閉経(50歳前後)の前後5年間が更年期となります。
女性ホルモンが大きくゆらぎながら低下していくので、かなり不安定です。
カラダが不安定なので、ココロも不安定になります。
個人差が大きいので何とも言えない孤独感があり、他人と比べてほしくないという気持ちもあります。
悪気はないのですが、デリカシーのない言葉に傷ついたり(涙)もします。
自分の閉経がいつ訪れるかを事前に知る方法はないので
モヤモヤしたり、閉経が怖いと感じたり人もいると思います。

<更年期の症状は多様>
女性ホルモンの分泌が少なくなり、
以下のような様々な症状があらわれる人がいます。
①血管の拡張と放熱
・のぼせ
・汗かき
・ホットフラッシュ(ほてり)
②その他の身体症状
・めまい
・疲労感
・動悸
③精神症状
・気分の落ち込み、意欲の低下
・不安感、イライラ
・不眠
*常生活に支障をきたす状態の場合は、一人で悩まずにぜひ産婦人科で相談してください。
そして、ホルモンの低下状態が続くと、骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、
動脈硬化や高脂血症などの病気にかかりやすくなりますので注意もしなければありません。


<おススメする登山と更年期の付き合い方>
ハードな登山は、しばしお休み
カラダが大きく変化するので、今までのような登山が出来ず、
登山を楽しめないという苛立ちを感じるかもしれません。
更年期の期間は山を別な視点で楽しむ、
いわば「ピンチをチャンスに変える」という気持ちをもって
いままでとは違った山との付き合い方を見つけてはいかがでしょうか。
花や樹木を勉強したり、地質も意外と面白いですよ。
山メシにこだわってみるのもいいかもしれません。
山は物質的なものばかりではありません、心の中でも山には登れます。
私もいま「未踏峰の山」に挑戦している最中です。

自然や森林を活用し楽しむ
昔から森林浴には癒し効果があるといわれていますが、最近では科学的にも実証されています。
更年期の最中に登山を控えるという選択肢よりも、
心が落ち着く登山をしてみてはいかがでしょうか。
森林浴(マイナスイオン)には、ストレスホルモンを減少させる効果があります。
そして、副交感神経活動(リラックスモード)が促進され、
交感神経活動(緊張モード)を抑制してくれます。
樹木が発散する「フィトンチッド」(森林の香り)には、
消臭効果の他にも疲労回復や精神安定(リラクゼーション)の効果がありますので
ピークやルートのこだわらず、ゆったり自然や森林を全身で感じる登山も良いものですよ。

変化の大きい更年期ですが、閉経で女でなくなるということは決してありません!
すべての女性に訪れることであり、
ホルモンに頼らなくても、ますます魅力的な女性として登山も人生も楽しみましょう!
自分にお疲れさま、そして新たな自分にこんにちは。