【山ナース日記】Vol.28 女性と登山シリーズ「あえてオープンに語ろう、生理と登山の話」

山ナース

日本では小学生の時に学校で男女が別々に「男女の体の違いや生理」の授業を受けて以来、生理の話はタブー視されています。
欧米では生理に関しての教育は男女一緒に行われており、最近では日本でも小学生の男子も勉強できるチャンスがあるようです。

さて、女性の生理人生、登山を楽しむ女性にとっては切っても切り離せないことでもあります。
登山と生理について今までの思い入れもあり、改めて人間には男と女しかいないので、あえて男の人にも知っていただきたいと思い今回記しました。


「生理は病気じゃない」とよく言いますが、女性はホルモンの流れの中で毎月体が変化するので、大自然の中に身を置く登山では安易に楽観視できません。
自分の経験からいうと、やはり生理中はいつもとはちょっと違います。高所での反応がいつもより低い標高から出始めたり、脱水や熱中症になりやすくなったりします。
特に私の場合は、生理になり始める時にかなり体調が悪くなることがあり、一緒に登っている人に言わざるを得なかった経験がありました。
自分の体と常に対話してコントロールできていれば、登山が出来るのかどうか判断できるので大きな問題にはならないかもしれません。
しかし、生理の体調の変化はかなり個人差やその時々で大きく異なります。
薬で生理を調整する人もいますが、なかなかコントロールできないことも多く、生理が突然きたりもします。
ですので、生理中であるということを登山を共にするパーティーの仲間には伝えるべきと思います。

登山女子の生理中の注意するポイントとしては、
・生理中は高温期なので睡眠の質が悪くなる。
・生理中はデトックス作用によって、水分バランスが変動しやすく脱水や熱中症やムクミになりやすい。
・野外で冷えやすいので生理痛など症状が重くなりやすい。

そもそも登山自体が長時間運動なので脱水になりやすく、気温差の激しい自然環境に身を置くのですから、より注意を払う必要があると思います。
男性からすると、生理中は登山しないでほしいと思うかもしれませんが、急に生理が来ることもあるので、「不浄の者、山に入るべからず」なんて哀しいこと言わないでくださいね。
男性は生理中の女性を「いつもとは違うかもしれない」と思って見守ってください。
女性も男性にはなかなか言いづらいと思いますが、自分の身体の状態をきちんと仲間には伝えてほしいと思います。


コミュニケーションは安全の要です。
女性の生理は確かに一つのリスクかもしれません。
しかしリスクに捉われてばかりでは山を楽しむことは出来ません。
リスクを知り理解して、女性の生理人生、安全に登山を楽しんでもらいたいと思います。

女性と登山シリーズ第2弾は、
いつまでも山と共に生きるための「登山と更年期の付き合い方」について記したいと思います。