【山ナース日記】vol. 107 今年の富士山救護所活動、前半の振り返り

山ナース

2021年7月1日に2年ぶりに開山した富士山。
コロナ禍でどうなるかと手探り状態で始まった吉田口五合目の救護所勤務も、やっと登山者が怒涛の如く殺到するお盆休みが過ぎ、少し落ち着いてきました。
前半戦を折り返したところで、例年と違った富士山の様子を振り返りたいと思います。

コロナ感染対策として、入山者は登山口で体調確認と検温を行います。
これは例年に比べると登山者はかなり少ないので、大きな混乱はありませんでした。

夜間登山(いわゆる弾丸登山)を防止するために、「富士スバルライン」は夜間通行止めとなりました。

山小屋もコロナ感染対策で完全予約制となり、宿泊者以外は小屋内で休憩することも出来ません。
売店での軽食もカップラーメンやパンのみとなり、以前とは様変わりしました。

変わらないこともあります。
それは困った登山者が相変わらずいることです。
悪天候でも無謀な登山をして低体温症。
登山道以外を歩いての滑落。
などなど。。。

軽装の登山者や、危険な夜通し弾丸登山をする人は後を絶ちません。
そういう人たちの多くは、普段から登山もしてないし、長く歩いたこともないので、限界がきてしまいます。
そして下界の感覚なのか、安易(本人にとっては重大な危機なのかも知れませんが)に救助要請をする人がいます。

 

今年のお盆休みは、台風の影響や停滞前線により全国的に大荒れの天気となりました。
その時は、気象状況を確認しないで五合目を訪れた上に、最大瞬間風速が20~30mの状況でも、登ろうとする登山者に対して『登山を見合わせる』ようお願いするのに苦労しました。
 

ただ、そんな中でも富士山の救護所に勤務していると、突然に富士山が雄大で素晴らしい景色を見せてくれることがあります。
そんな時に私は、日常を「ふっ」と忘れて、どっしり構えて堂々としている富士山の雄大さに感動します。

これから富士山が閉山する9月10日までに登ろうとしている方には、以下のことを考えて計画を立てて欲しいです。

・夜通し(弾丸)登山はしない
・天気の良い日に訪れる(登山をする時は天気を確認する)
・山頂を絶対の目的地としない

お天気によっては五合目が目標でも良いと思います。標高2300mの涼しさを体感したり、お中道などのハイキングコースもあり富士山を楽しむことができます。

しかし、しっかり計画していても登山中には何が起きるか分かりません。
自分で対処が難しいと感じたら、すぐに救助要請または相談の連絡をしましょう。

皆さま、ご安全に富士登山してくださいね。