山ナース日記~Vol.26「 学校登山」

山ナース

秋の遠足シーズンがやってきました。
中学校や小学校の学校遠足に山ナースとして帯同してきましたので、
学校登山について、そして留意点(アレルギー)について記したいと思います。

<魚沼:浦山登山>
  

先ずは学校登山について、
山岳信仰や登山が日本の古来からの文化であったことから、
以前は学校登山は盛んに行われ、遠足の代表格でした。
その目的は、かつての「生徒たちが協力して困難に立ち向かう」という集団訓練から、
現在では「自然を楽しみながら学ぶ」に変化しつつあります。
実際の学校登山では、ほぼ全員の生徒には登山技術はなく、体力不足な上に格差も大きい、登山(登頂)に対する思いも個人差があります。
ですので、学校登山と我々登山愛好家の登山を一緒にすることは出来ません。
引率する教職員も同じように登山愛好家ではないので、下見登山はきちんとしていますが、必ず精通した地元のガイドにお願いしています。
このように安全面の意識は高いですが、まだ登山の目的がいまいち確立されていないように感じられ、学校登山の在り方の過渡期なのかもしれない。
森林が7割を占める日本において、学校登山は生徒たちが「山や自然」を学ぶ良い機会なのは間違いありません。
登山の前に山の文化や山の基本などの講義を聞けば、子供たちの学びも深まり気力も違ってくるのではないかと思います。

  

次に、学校登山の留意点として挙げられることとして、
現代っ子にとって、切っても切り離せないアレルギーがあります。
エピペン(劇症のアレルギー反応が出現したときに即効で薬剤:エピネフリンの注射が出来るペン型携帯用注射器)を携帯している生徒は、いままで私が帯同した学校で、多くて1学年3名いました。
実際に学校遠足や学校登山中に使用したことは今のところありませんが、エピペンを持っていない子でもアレルギー反応と思われる症状が出ることがあります。
学校遠足では野外行動が多いため、その季節にその地域に飛散している花粉や、大勢での宿泊生活の中でのホコリ(ハウスダスト)や、食べ物・運動によるものなどなど、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因)は様々考えられます。
そして宿泊遠足の日程が進むにつれ、だんだん発熱する子も増えてきますので、慣れない集団生活によるストレスもアレルギー反応の誘発につながります。
すべての教職員はもちろん、帯同する医師・看護師がいるいないに関わらず、AEDの使い方同様にエピペンの使い方についても、多くの人が使えるようになると良いと思いました。

 

<那須:茶臼岳登山>
   

余談として
私の好きなジブリ作品の中に「おもひでぽろぽろ」があります。
懐かしい思い出や人々のふれあいの中で精神的に自立し始める、小学校5年生のタエ子ちゃんと27才OLのタエ子のお話しです。
小学5年生の林間学校に帯同して、小学校5年生の自分に会えたような気がしました。

  

子供達が登山や野外活動などの自然体験の中で五感を研ぎ澄ませて、
自分自身と向き合い、人間同士の触れ合いや気持ちのぶつかり合いの中で、
大切なものを見つけていってほしいなと思います。