【山ナース日記】vol.164 5月ガイドプラン「南八ヶ岳縦走」終了

山ナース

日時 2022年5月26日㈭~27日㈮
場所 長野県 八ヶ岳

5月のガイドプランは、4月の丹沢から一気に標高を上げて南八ヶ岳の稜線を縦走しながら、ちょうどシーズンの始まった高山植物を楽しめるように企画しました。
特に、この時期はホテイランとツクモグサが有名ですね。

1日目
南八ヶ岳登山の玄関口である美濃戸から南沢登山道に進み、しばらくすると紫色の可憐な「ホテイラン(布袋蘭)」がいっぱい咲いていました。
その名のとおり、花の下部が布袋になっている高山植物です。

苔もきれいな南沢登山道

沢沿いのアップダウンを歩いて南沢登山道を行者小屋に近づくと、南八ヶ岳の稜線とその象徴とも言える大同心や小同心の岩峰がキレイに見えてきて、一気にテンションが上がります。
行者小屋では、6月4日からのオープン準備を行者小屋支配人のソリッド氏がしていました。
ここで、大休止して急登の地蔵尾根を上がります。

地蔵尾根の樹林帯には残雪がありチェーンアイゼンを装着して歩きました。
樹林帯を抜けると残雪はなくなりましたが、勾配はきつくなり階段や鎖場が多くなってきます。
標高もどんどん上がるので、慎重に歩みを進めます。
稜線に上がる直前では男前の凛々しいお顔のお地蔵さんに元気をもらいました。

稜線上の地蔵の頭に到着
すっかりガスの中になってしまいましたが、穏やかなお顔のお地蔵さんが頑張りをねぎらってくれました。

今夜から明日にかけて、お天気が下り坂なので、今日のうちにもうひと頑張りして横岳近くまで「ツクモグサ」を見に行きました。
そこまでの道のりは、岩稜帯のアップダウン、ハシゴ、鎖場、残雪と神経を使う場面もありましたが、魅惑の「ツクモグサ」は咲いてくれていました。
ツクモグサは、利尻山、白馬岳、そして八ヶ岳の横岳付近でしか見ることができない希少な高山植物で、名前の由来は発見者のお祖父さんの名前「九十九(つくも)」から付けたそうです。
今回は、お天気が悪くて花が閉じてしまっていました。
しかし、ガスの中で蕾につゆが付いて透明感のある花が神秘的でかわいらしかったです。

その他にも、キバナイチゲ、オヤマノエンドウ、コケモモを見ることができました。

宿泊先の「赤岳天望荘」は我々8人だけの貸し切り。
小屋番さん達はとても親切にしてくれて、そして、ご飯もおいしかったです。
お茶、コーヒー、お湯などが宿泊者に飲み放題なのは大変ありがたかったです。

2日目は天気予報どおり稜線は風雨が強い状況なので、稜線を縦走するには危険過ぎるため縦走は諦めて登ってきた地蔵尾根を下りました。
雨が降ってイキイキとした苔や高山植物を楽しんで下山しました。
昨夜からの雨で増水していて思いがけず渡渉も。

苔や高山植物に癒されまくりの登山となりました。
下山するころにはすっかりお天気になるという「登山あるある」となりましたが
来年またこの時期に「ツクモグサ」を見に行きましょう!

「ツクモグサ」は、開花時期が短く、お天気が悪いと花が閉じてしまうという、
なかなか見るのに大変な、だからこそ魅力的な高山植物です。
また来年も企画しますので、是非ご参加ください。

次回、6月のガイドプランは「甲斐駒ヶ岳&仙丈ケ岳」です。
2日間で2つの3000m級の百名山を登ります。
既に定員となっておりまして、現在はキャンセル待ちを受付中です。