山ナース日記~Vol.25「 登山は下山時が核心!?」

山ナース

山岳救護所活動をしていると、下山中の転倒や疲労による行動不能がとても多く発生していることが分かります。浮石によるバランス崩しや砂利でのスリップ転倒により、怪我や骨折も発生してしまいます。
下山こそ核心なので、休みながら一歩一歩慎重に、足の筋肉への過剰な負担を避けることで、転倒リスクを軽減することができます。
今回の山ナース日記は下山について記したいと思います。
  

 

古代から世界遺産となった現代まで、人々を魅了してやまない日本で最も高く美しい山「富士山」
神が宿る山として崇拝され、山頂は神の領域とされています。
ご来光が目的の方も多いと思いますが、山頂付近での「ご来光渋滞」は想像以上にすさまじいです。
混雑時には1日に6,500人もの人々が山梨県側の吉田口ルートから入山します。
混雑回避と負担軽減のため、山頂でのご来光鑑賞は避け、ゆっくり休んで山小屋周辺でご来光を仰ぐ方が無難かもしれません。
  

富士登山をする半数の人が生まれて初めての登山という
山岳救護活動している者にとっては恐ろしい現実はあるのですが、
登山初心者でもしっかり計画・準備して、慎重に登れば登頂することはできます。
しかし、下山中に水がなくなったと救助要請する人まで出没、富士山頂には自動販売機までありますので、登りだけでなく下山に関してのインフォメーションもきちんと入手するようにしましょう。

       

意外に多い下山時のケガや事故、空気が薄く、人が多いので、一歩一歩ていねいに足を運んで、以下のようなことに注意をして下山いただけたらと思います。

<下山の注意点>
・万全の準備(トイレ・水の補給・防寒対策・雨具はすぐに取り出せるように)をしてから下山しよう。
・山頂からの下山は、登りでの筋肉疲労に加え、膝に負担がかかり、負傷の危険が大きくなるので、気を引き締めて、慎重に山を下りてください。
・靴は足首まで紐をしっかりと締めて、足首の捻挫予防とつま先への負担を軽減しましょう。
・急な斜面では横向きに一歩ずつ下ることで大腿部の筋肉への過剰な負担と転倒を防ぐことができます。
・富士下山はジグザクに続く砂地を延々と下り続けますが、下山道には山小屋がありませんし、トイレは一か所しかありません。
・登山道も下山道も道を外れると落石を発生する恐れがあるので、絶対に道を外れないように、道の端っこも崩れやすいので要注意です。
・靴に小石が入らないようにスパッツ、晴天が続くと乾燥して砂ぼこりになるのでバンダナやマスクがあると便利です。
  
下山に伴って、神の宿る山にゴミを捨てていく不届き者がいますが、
ゴミは必ず持ち帰りましょうね。