山ナース日記~Vol.18 子供の登山~

山ナース

場所:筑波山
日時:4月上旬

いよいよGWも近づき、お子さんと山に行かれる方も増えると思います。
以前、山ナース日記に夏休み中の子供の富士登山のことについて書きました(山ナース日記 ~Vol.1 富士山五合目救護所~)が、
今回、筑波山で春休みチビッ子登山をしてきましたので、
その模様を含めながら子供(小学生)の登山の仕方や注意点について書きたいと思います。


4月は気候の変化が目まぐるしく、それがまた春らしいのですが、
筑波山チビッ子登山の前夜になんと冠雪があったようです。

子供の登山は、時間を短く、荷物を多く持たせないようにします。
今回は登山距離(登り下り全部で3時間の歩行時間)が短く、登山者も少ない、
裏筑波からのアプローチを選択しました。
東京方面の反対側、北関東側から見ると筑波山(写真)はこんな形をしています。
筑波山は日本百名山のひとつで、ふたつのピークが美しい双耳峰の山です。

 

 
この思いがけない雪に子供たちは大喜びでした。
子供は好奇心旺盛で、集中力の持続に欠けるので、
植物や山のことなど、いろんな話がけをしつつ、単調な行動にならないよう
様々なものに関心を向けられるように心がけます。
日差しは温かいので雪はどんどん溶けていきました。
筑波山は全域が水郷筑波国定公園に指定された保護エリアなので、
「残してよいのは足跡だけ、とっていいのは写真だけ」と教えます。

子供達と登山をするときは必ず、山に入る前にイザとなった時の話をします。
もし、はぐれてしまったら・・・その場を動かない。
そして上着(防寒着・カッパ)を着て、お水とお菓子を食べながら、迎えが来るのをじっと待つ。
ですから、子どもが持つザックの中の最低限の持ち物は、カッパ、水分、食べ物です。
途中でも何度かクイズ方式で聞きます。
ザックが小さすぎてパンパンだと、体温調整のために脱いだ衣服を入れられないので、ザックは少し余裕をもつ大きさのものが良いです。体とのバランスも大事です。

 


子供は、エネルギーの必要度が高い割に、体内での蓄積する量は少なく、
また水分を損失するリスクが高いので、こまめに休憩して
そのたびにおやつ(糖質)と水分を摂るようにします。

そして、子供達には必ず簡単な地図を持たせます。
分岐や分かりずらいところに着いたり、標識があれば標識のところでとまります。
今ここがどこなのか、どっちに行くのか、一度立ち止まって確認する癖をつけるためです。
これも飽きさせないという手段でもありますが、身につけてほしい山の勉強のひとつです。

 

 
写真撮影は大人も子供も同じですが
夢中になって、危険な場所に入り込みやすいので注意です。
野外でのケガの処置については、
こちら(山ナース日記 ~Vol.7 秋の学校遠足同行~
(山ナース日記 ~Vol.9 事故防止・経験交流集会~)
また子供は低年齢になるほど紫外線に弱いので、
帽子は必須で、なるべく皮膚を露出しないで済むようにします。
小児は体表面積が大きく、基礎体温が高く、体温調整がまだ未熟です。
低体温にも高体温にもなりやすいので、こまめに体温調整しやすいように重ね着を心がけてください。

  
下山時にはすっかり雪はなくなり、カタクリも手を広げて咲いてくれていました。
隠れていたフキノトウも見つけたので、じっと見ていたら
近くにいた子から「採っちゃだめだよ!」と声がかかりました(笑)
大好物のフキ味噌のことを考えていたのが解ってしまったのか・・・
子供は経験の中で着実に学んでくれます。
参加してくれた子供達も疲れきらず、飽きず、次の山の話をしていました。
とても楽しい春休みチビッ子登山となりました。