【山ナース日記】vol. 83 赤岳鉱泉GW山岳医療ボランティア活動②「気象遭難」

山ナース

2021年GWは全国的に不安定な気象により、全国各地で遭難事故が多く発生してしまいました。
残念ながら、私が山岳医療任務中の南八ヶ岳の赤岳付近でも、悪天候の中、行動不能になるという遭難事故が発生し、1名の方が亡くなられました。

下界では天候が良ければ夏を思わせるような気温になりますが、山ではまだまだ冬です。
八ヶ岳も一変して冬山、特に稜線の強風で知られる八ヶ岳では猛吹雪となり視界もなくなってしまいます。

捜索を開始した時、稜線はまだ猛吹雪なので、救助に向かう救助隊と遭対協の方々も危険な命がけの任務になります。
 

救助に向かう方々や私たち医療者が必要のない平和な時ばかりではありません。
遭難者の発見を願い、部屋とベッドを暖め、出来る限りの体制を整えて待ちましたが、残念ながら生存しての発見とはなりませんでした。

今回、お亡くなりになった方の事を書くわけではありませんが、しっかりとした判断と見極めが出来ていても、人は自然の中では簡単に死んでしまうことがあります。

長野県警山岳救助ヘリ「やまびこ」
 
GW中は全国各地で多くの山岳遭難がありました。
その昔、山では気象遭難で多くの方が亡くなられました。
天気予報の精度も上がり、情報の入手もしやすくなった現在では減らすこともできる遭難事故となったのではないでしょうか。
山の天気は、変化の速度が速いので、天候の予測と急変への対応策は安全な登山には欠かせません。

「楽しみ」を「悲しみ」に変えないよう、山では死んではいけないのだと改めて感じます。
悪天候時は引き返す、エスケープルートへ避難する。それが出来ない場合は動かない。

天候急変への対応は万全にしていただきたいと思います。

次回の赤岳鉱泉GW山岳医療ボランティア活動③は「山岳医療」です。お楽しみにホームページをチェックしていて下さいね。