【山ナース日記】vol.206 「富士山吉田口五合目救護所:7月」

山ナース

今年(2023年)は、富士山が世界文化遺産に登録されて10周年のアニバーサリーイヤーです。
私は富士山救護所で毎夏従事させていただき6年目になりました。
7月の開山後に、吉田口にある五合目総合管理センターの方々と顔を合わせることがとても嬉しいです。

今年の富士山はなんと、登山者の8割が外国人、富士スバルライン五合目の観光客の9割が外国人です。
インバウンドで日本各地を訪れる外国の方々が多いのですから、
日本を代表する観光地である「Mt.Fuji」が外国人だらけなのは仕方ないですよね。

世界各国から富士山を訪れる方々を救護所で診るときに、我々が何か国語も話せるわけではありません。
どのように対応しているかと言うと
富士山インフォメーションの通訳案内人の方のお力(英語と中国語)をお借りすることがありますが、
主には、スマートフォン用の多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」を使っています。
翻訳できる言語は31言語もあり、無料なのでとても便利です。

さて、私事になりますが、一度夏にやってみたかった「ベリーショートヘア」
夏山シーズン、山ナースガイドの私は激務なので富士山救護所勤務前に思い切ってチャレンジ
手入れが簡単なのでとても気に入ってます。

富士登山の話しに戻りますが、登山者は昨年の2倍となり、傷病者も比例して2倍となりました。
救護所は登山者と観光客の体調不良者やケガなどの対応に追われ、連日大忙しです。
傷病者で多いのは、一番が創傷や捻挫や骨折疑いなどの外傷、その次が高山病(脱水症の含む)です。
特に夜通し登るいわゆる弾丸登山の登山者の疲労によるケガや低体温症が目立ちます。

朝の救護所勤務開始早々から救助案件が続き、
気が付くと救護所に夕陽が差し込んでいました。
日本一の夕日が「お疲れさま」と癒してくれます。

学校の夏休みも始まって、さらに登山者が増えると思います。
これを読んでいる多くの日本人の方は、天候の悪いときは登らないでください。
また、体調が悪くなってきたり天候が悪くなってきたら引き返すようにしましょう。
そして、弾丸登山はしないようにお願いいたします。

装備をしっかり整え、水分を十分に取りながら、ゆっくりと日本一の富士登山を楽しんでいただければと思います。