【山遊び♪レポ】ゴタテの空白を埋める縦走 ~扇沢→親不知をテント泊ソロ縦走なるか!?~

山ナース

投稿時期:2023年8月
投稿者:ホームページ管理人Mu

こんにちは!ホームページ管理担当者のMuです。
前回の山遊びレポートから縦走登山の報告をしていて、前回は、初回で立山黒部アルペンルートの扇沢から後立山連峰の稜線に上がる直前までを投稿しました。
そこまで登って「熊出没注意」の看板を見て、私は極度のビビリなのでソロだと一気に不安が大きくなったんです。
(前回の投稿は☟をクリックすると移動します)
【山遊び♪レポ】人生最後じゃなかった?テント泊ソロ長距離縦走 ~扇沢→親不知をテント泊ソロ縦走なるか!?~ – 小林美智子山岳看護師事務所(山ナースガイドオフィス)
それから、どこを歩いているのか名前だけでは分からない方のために地図(山と高原地図)を貼り付けておきます。

そういえば、これを書いておかないと!
小林美智子ガイドが、またまたラジオに出演したそうです。聞いていただけましたか、好評だったようなので聞き逃したかたは、ぜひ↓をご覧ください。
【山ナース日記】vol.208 NHKラジオ深夜便に出演します。 – 小林美智子山岳看護師事務所(山ナースガイドオフィス)
もしかしたら、私の大縦走の話題も・・・でていたかも。今夜11時過ぎです、お楽しみに!

タイトルのゴタテとは?
続きを書く前に、皆さん「ゴタテ」ってご存知ですか?
そーです、白い殻の二枚貝で貝柱が肉厚で、刺身だと甘くて、バター醤油で焼いても美味しい・・・
それは、ホタテだろ!ってツッコミが入ったところで話しを戻して。
私も登山を本格的な趣味にするまで知らなかったのですが、後立山連峰のことを省略してゴタテと呼ぶそうです。
ゴタテは、漢字の後立山連峰の最初の漢字2文字をそのまま読んだだけなんですが、後立山連峰と言う名前も富山県側にある立山連峰の後ろなので付いたそうです。
今回、私が登山を開始した長野県側から見ると前には平野しかなく後ろじゃあないんですけどね。

私が歩いていない山域(空白)
ゴタテの中で、爺ヶ岳から唐松岳の間は、今まで歩いたことがないんです。
逆に白馬岳周辺はゴタテという呼び名をはじめ、縦走登山・テント泊登山を教えてくれた先輩と初めての縦走をした場所で、以降も何度も歩いているし、残雪期のバリエーションルートを登って歩いた回数も多い。
なので、今回の核心部は、岩場の連続する鹿島槍ヶ岳から五竜岳間の八峰キレット!
・・・と思うのと
白馬岳の先で親不知へと下りていく区間での標高が低くなるゆえの心配事(暑さ、水の確保、熊の出没、ムシ・・・)がありました。

1カ月ぶりの種池山荘
さて、お待たせしました、前回の続きです。はじまり、はじまり~(紙芝居風。。。)
1か月前は残雪の斜面だった箇所も、まったく雪が無くなってお花畑の中に整備された登山道を上がると種池山荘に着きました。

平日ですが、登山者はチラホラといて、なかなかのお花畑なのでカメラを向けている方もいましたが、私は素通り。
縦走後半の白馬岳より先で、素晴らしい高山植物たちに出会えるので、まずは先を急ぎます。

本格的な夏山シーズンの開幕前なので、山荘も控えめに営業している感じだったのと、先ほど水の補給も済んでいる(前回の投稿をご覧ください。)ので、小屋には寄らずに出発しますが、爺ヶ岳方面も雲が分厚く、熊が出る出ない以前に、天気がイマイチで行く行かないを考えたくなります。

爺ヶ岳
種池山荘から急登もなく到着します。
頭の中では「1か月前に登ったから、今日は巻き道でピークはスルーしようかな。」と考えていましたが、なんだか山頂に行かないのも気持ち悪いので中峰へ。

長野県(東)側に下りていく尾根は残雪期のバリエーションルート入門編として有名で、爺ヶ岳東尾根と言います。
その尾根を見下ろしながら、以前に登頂した時の感動や苦労を思い出しました。
200~300m先のように見えていた山頂が、白一色で遠近感がおかしくなったのか20~30mの距離だった事に皆で驚いたり、テントのポールを落としそうになったり、山頂から下りてきてテントで飲んだキンキンのビールの美味さだったり、最後の最後で滑落したりと思い出深かったなぁ~。
登ってきた西側に振り返ると、剱や立山の山頂部は雲に隠れています。

随分と雪が融けた針ノ木雪渓も見えます。

この先の鹿島槍ヶ岳も同様に山頂部分が隠れているので、眺望は期待できないですが、濡れていると滑って怖いので、岩場で雨が降らない事だけを願いながら、まずは冷池山荘だ!(写真のガスで隠れた鹿島槍ヶ岳の手前にある山小屋)と爺ヶ岳の北側の空白区間へと踏み出しました。

やってはいけない判断!?
中峰からは砂の斜面を下りていきますが、コマクサが咲いていました。

この先でもたくさん出会えるだろうと思っていましたが、ついついパチリ!
「ここで撮っておかなければ!」と思わせるような儚さ、か弱さがコマクサにはあるような気がします。
この後は、鹿島槍ヶ岳の手前にちょこん!っと立っている冷池山荘に13時半くらいに着きました。

ここで考える事は2つ
①さらに先へ進むか?
②さらに進む場合、水の補給はどうするか?
私はここまでコースタイム5:50のところを3:30くらいで歩いてきました。
次のキレット小屋までコースタイムは3:50です。
ということは、このままのペースなら2時間ちょっと・・・かな。
行けそうです。
水は、100㎖くらいしか残っていないけど、キレット小屋で補給すれば良さそう。
という①、②への判断、皆さんはどう思いますか。
一般的には、やってはいけない判断だと思います。
山小屋には遅くとも15時とか16時に着いていて下さいと、書いてくれている山小屋もあります(例、双六小屋⇒『万が一の際に、暗くなってからではヘリコプターなどを含む救助等の対応が難しくなりますし、手遅れになる場合があるかもしれません。遅くても日が暮れる3時間くらいまでには小屋に到着するようにして下さい。目安として、双六小屋は、夏は16時までのご到着をお願いします。』)がキレット小屋に着くのが、コースタイムだと17時半くらいになってしまいます。
水については一般的に、夏山で2時間以上も歩くのに100㎖ってのは少ないです。
・・・
①さらに進む、②補給しない、という判断は、経験から導き出した結果なのですが、滑落や体調不良など、今までのペースで進めない何かが起こった場合は、かなり致命的な状況になります。
ですので、これを読んでいる皆さんの中でも「俺なら行ける」という方もいらっしゃるかも知れませんが、皆さんの経験とリスクをどう考えるか、という事から判断してくださいね。

「いつか!」のために「今日は行かない」
行くと決めれば天気が悪化しないうちに通過したいので、すぐに行動再開。
冷池山荘から布引山の手前までは、なだらかな登りで広い尾根もあってお花畑が各所に展開しています。

そういえば冷池山荘でエネルギー(行動食)を補給してなかったと気付いて、お花畑の前で休憩&補給。

チングルマやミヤマキンポウゲと私の好きなシンプルでカワイイ系のお花畑で気持ちも少し落ち着きました。

新しい靴(エクイリビウム スピード)と一緒に写真を撮る余裕も(*^^)v
布引山の手前でガレ場をジグザグに急登となりますが、山頂がガスで隠れているので先は見えず。
ならばと振り返れば、爺ヶ岳の北峰・中峰・南峰がきれいに・・・は見えないですが、3つのピークがなんとなく分かりますね。

ここでガスの中に突入してしまい、あとは眺望もないままで、ただただ登山道をトレースしていきます。
途中、1人だけ冷池山荘へ戻るアタック装備のお爺さんとすれ違ったのですが、ガスからいきなりお爺さんが現れたので、焦りました(>_<)
そんな感じで先が見えないので鹿島槍ヶ岳の最高峰(南峰)は、突然に到着。

記念写真だけで、すぐに先へ。
双耳峰である鹿島槍ヶ岳の北峰へは吊尾根を進みますが、ここもガスで眺望がない。
視界が広がっていたら、高い所が苦手な私は震えながら歩いて時間がかかったのかも。
北峰は、縦走路からわずかに外れています。

わずかなので、すぐそこなんです。・・・が、今日は行きません。
天気が悪く眺望がないことや、時間に追われているということもありますが、1番の理由は鹿島槍ヶ岳の北峰は、KOさんとバリエーションルートから登攀するのを目標(かなり背伸びした目標かも知れないですが)にしているからです。
「山は逃げない!逃げるのは自分・・・」という言葉が、毎年のように気になっています。
そう、まるで歯に挟まったホタルイカの目玉のように。。。

目標を持っているのは良いことだと思うのですが、この目標は長い間ずっと達成できずに言い続けるのかも知れないですが、それもまた良いですね。

皆さんの目標の山、今度聞かせてくださいね~!
今回の投稿は、ここまでです。
次回は、鹿島槍ヶ岳から八峰キレットへと進みますが、時間は大丈夫なのか!?
ハラハラ、ドキドキの展開が・・・。